2015年6月25日木曜日

放牧牛の魅力をご紹介!





本日、サンクスビーフとして育っている
牛くんたちの放牧スペースを移動したとのこと。





















間近で一気にたくさんの牛くんを写真におさめることができるの
は、誰か人が近づくと牛くんたちが勝手に集合するから!
(今回の写真は三女あみちゃん撮影!)




井上牧場のお肉用牛くんたちはとても従順なご様子。
従順すぎて、お肉になるために運ばれていくトラックにも、
抵抗することなく進んで乗り込んでいくらしい。


良いんだか、悪いんだか。
わかっているんだか、
いないんだか。
不思議な牛たちです!




移動した放牧場所 は、放っておきすぎて牧草伸びすぎちゃっている様子…!
うんうん、牛くん、草で埋もれちゃってますね…
きっと皆で頑張って短く食べ揃えてくれることでしょう!!



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さて今日は、井上牧場で生産しております「放牧牛」の話を。



 
放牧牛は、「グラスフェッドビーフ(グラスビーフ)」とも呼ばれております。
日本では、放牧牛のお肉ってなかなか珍しいのです。



(ちなみに、井上牧場の牛はホルスタインにブラウンスイスにガンジー牛に・・・
という交雑種なので、これまた希少。)


というわけで今日はこのあたりを調べてみました~。
これまた素人目線で

ウソじゃなさそうな情報を元に作成しておりますが、
中には事実と異なることがあったらスミマセン…。先に謝罪!




◆牛肉の種類は「飼料」で2つに分けられます!

牛肉は、外国産だとか和牛だとか国産牛、
それから牛の血統などなどでもいろいろと分け方がありますが、
育て方、つまり飼料によっても2つに分けることができます。



日本で食べている牛肉のほとんどは、
穀物で飼育された「グレインフェットビーフ」なのだそう。




【グレインフェットビーフ】
主に穀物を食べて育った牛のお肉です。
穀物を飼料にすると、柔らかくて、脂身が多いお肉になります。
霜降りが入った、高級ブランド牛もそう!



【グラスフェッドビーフ】
放牧で飼育され、主に牧草だけで育った牛のお肉がこっち。
最近はあんまり日本では流通していないご様子。
井上牧場のサンクスビーフもこちら。


※詳細には、生まれて数か月は配合飼料も食べたり、
冬場に牛舎で過ごす際には放牧していないので
発酵飼料ことサイレージを食べます。
(乳牛になる予定の女の子ウシ、育成牛たちと同居すると、
トウモロコシやカボチャの粕とか、ちょっとだけ穀物類を食べることもあるのですけれど)
基本的には放牧しております。

こんな感じで、今はまだ室内で暮らす男の子牛もいます!
・・・牧草を食べてますね!!


















 

◆日本でグラスフェッドビーフが食べられない理由?

日本で食べるほとんどの牛肉は、穀物で肥育されたグレインフェッドビーフだと言われています。



オーストラリア、ニュージーランドではグラスフェッドビーフが基本なのですが、

日本向けに輸出する際は日本人の好みに合うように屠畜する前に数か月間、穀物を与えているものも多いとのこと。


どうやら放牧牛ことグラスフェッドビーフの味や食感が日本人の嗜好に合わない、
と考えられているから、とのこと。




日本では霜降りが入った、
とろけるような柔らかい牛肉が「美味しい」「高級」と
考えられている傾向にあります。



まあ実際そうですよね、
テレビとか見てても高級な霜降り牛がもてはやされているし、
実際高級な飼料で育てることもあるでしょうから、
コストもかかってるんでしょうと思います!


やわらかいお肉、美味しいですもんね…

 

◆日本の牛肉の格付け基準は…こうだ!

ではここで牛肉の格付けの話を少々。


日本の牛肉は、
日本食肉協会(JMGA)によって
「歩溜等級」と「肉質等級」という2つの基準によって格付けされています!



●基準1:1頭からとれるお肉の量が多い!(歩溜等級)
A~Cで評価します、
Aが最高、Cが最低。



●基準2:肉質がいい!(肉質等級)
・脂肪交雑(サシ)の状態
・肉の色、光沢
・肉の締まりが良いか、キメが良いか
・脂肪の色
上記4つの項目をそれぞれ1~5で評価。5が最高。
その内最低評価の数値が、肉質の評価になります。




この基準でいえば、
A5ランクなら最高で、
C1ランクなら最低、ということになりますね!




放牧牛の場合、
ヘルシーな草を食べ、放牧場を走り回っている
健康的な牛なので、
お肉の量、脂肪が少なくて当然でしょう。

草で育つと、脂身のところは黄色っぽくなります。
そんなわけで、ランクはかなり下になってしまいます。




※これは2012年のヒデさんfacebookより拝借!おいしそう!

ランクが低ければ、
実際の味がどうこうに関わらず、

市場の評価では、
牛肉の価値が低いとみなされてしまいます。



そうすると生産者としては儲けを出すのが難しくなるので、
なかなか放牧、牧草で育てようという考えにはたどり着かないでしょうね。



井上牧場のように北海道の広い土地があればまだしも、
放牧するにもその分の場所を確保できないという事情もあるでしょう。


そんな背景もあり、日本では穀物で育てるグレインフェッドビーフが主流なのかなーと思います。


◆放牧牛は、美味しくない…?そんなはずはない!

そんな、格付けされちゃうと低ランクになる放牧牛、
美味しくないかというとそんなはずはなく…。



美味しいですよ!



確かに、赤身が基本なので、
脂身が多い高級牛肉より歯ごたえがあります。




だからといって、
美味しくないお肉、のはずがないです!




何回も我が家でお肉を食べておりますが、
素人農民たちがただ炭火で焼いただけの調理法ですが、
硬くて美味しくない、
って思ったことはない…。



草のニオイがする、と言う話もあるようですが、
私は何も思いません…美味しい…!



これは5月に井上牧場に帰った際の焼き肉ハウス(・・・小屋?)による焼肉パーティーより。
サンクスビーフのサーロイン。
美味しいに決まっています!


あっやっぱり焼きすぎたりスジのとこ食べるとね、硬いときもありますけれど。
硬くて不味いなんてはずはない!
特にサーロインとか食べたらもう…硬くて食べられないとかありえない!



むしろ赤身たっくさんで食べるところばっかり!
お肉の味をきちんと感じることができます、
本来の肉とはこういうものなのだ!ということです。



高級なお肉は脂が多いので、ちょっと食べたらお腹いっぱい胸いっぱいですが、
美味しい赤身肉はたくさん食べられます。

ローストビーフとかも最高!




…牛さん目線で言えば、
そんなにたくさん食べられなくていいと思いますが…^^;


味の評価は得意とするところではないのでこの辺で・・・
興味ある方はぜひ食べてみてくれたら良いと思います!


◆牛は草食動物なのだ!

牛は元々、草食動物ですから、穀物は必要ないです。
草を食べて生きられるし、お乳も出します。



グレインフェットビーフにも色々な良さはあるのでしょう。
実際に、高級牛肉と言われる和牛さんなんかは、
1頭1頭大切に育てられていることと思います。



でも、早く大きくしたり、サシをキレイに入れるためといって
穀物やらなにやら食べさせたり、
運動しなくていいように狭い場所で飼育したりするのは、

ちょっと不自然な印象も。
外国産の牛肉は、抗生物質打ったり、成長促進剤を使ったりしているものもあるようで、問題視されていますね。


特に、アメリカなどで主流の
「フィードロット」という飼育法は、写真
を見るだけでも結構衝撃的な育て方に見えます。
先進国に安く大量の牛肉を提供するため、
経済性を求めるあまり、かなり不自然に牛を育てているなあと思ってしまいます。

もはや「育てる」という表現は合わないかなあ。
ご興味ある方はどうぞ検索してみてください!



ホントは牛に穀物なんて必要ない…!なんてことを言いつつもも、
実際は牛さんたちは結構トウモロコシなど穀物がお好きなご様子…!
与えれば喜んで召し上がります!
我々がスナック菓子とかカップラーメンをついつい食べたくなっちゃうのと同じかもしれませんね、
決して体によくないけど美味しいと思っちゃう…っていうやつですかね^^;


◆放牧牛は栄養価も魅力的!

ここ最近は、
健康やらダイエットやらに良いとか、「熟成肉」の流行もあって、
牛肉の赤身にも注目が集まっておりますよね。



前回、ベガーズハーレムさんにお届けしたリブロース。


放牧牛ことグラスフェッドビーフは、脂が少ない赤身肉。
良質のたんぱく質、低脂肪、低カロリー。
それから不飽和脂肪酸の、ω3脂肪酸がたくさん含まれているとのこと。
ヘルシー志向の人にも、ぴったり。



ニュージーランドの牧草牛の紹介サイトで、
牧草牛の栄養価について記載されていましたので
引用します!


"肉はたくさん食べたい、でも体型維持が気になる。そのような方には、穀物飼料で育った高カロリーの穀物牛より牧草だけで育った赤身の牧草牛がおすすめです。
●低カロリー
牧草牛のカロリーは、穀物牛(和牛)の約62%*
●低脂肪
牧草牛の脂質は、穀物牛(和牛)の約40%*
●低悪玉コレステロール
オメガ3脂肪酸が血中の悪玉コレステロールを低下
 牧草牛は、健康を気にかける方にとってぴったりな牛肉です。

*比率はそれぞれヒレ肉で比較”


"牧草牛には穀物牛に比べ、より多くのオメガ3脂肪酸が含まれています。それは牧草牛が食べている牧草自体に、この栄養素があるからです。
 血管ケアとアンチエイジングに最適なオメガ3脂肪酸は、EPAやDHAなどフィッシュオイルには多く含まれていますが、他の食物からは摂りにくい栄養分です。
●血液をサラサラにする
●血中悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の予防
●筋肉に効率よく栄養を取り込み、筋力低下の防止に有効
オメガ3脂肪酸をたっぷりと含んだ牧草牛は、まさに「丘の魚」ともいえる食材です。”

参照:ニュージーランド放牧牛について
http://blog.newzealand-beef.jp/beef/nutrition/


だそうです。

牧草で育った牛さんのお肉、スゴイ…!


◆お肉になるときまで、心も体も健康に過ごしてくれてたらいいな~。

ぐっすりすぎてカワイイ男の子牛…!カワイイ…



井上牧場で暮らすサンクスビーフになる予定の牛たちは、
広い牧草地を、自由にうろうろして好きな様に過ごしています。
冬は牛舎に入ります!



26ヶ月~30ヶ月でお肉になります。
本来何十年も寿命がある牛なので、この期間もまだまだ短いよなあ、とか、
管理面とか肉質のために、去勢していたりもするので、これも不自然だよなあ、とか
牛くんたちにとっては不幸な扱いがあることも事実でしょう。

角も切られたり、耳に番号つけられるのだって嫌でしょうね…。


だけれども、
幸せに生きてほしいとはいえペットでもなければ野生でもないので、
このあたりはどこかで割り切りは必要なところ…。




命を頂く代わりに、
そのときがくるまでは、
いろんな危険から守られて、
美味しいごはんを食べて、
好きなように運動できて

牧場主たちにできる限りの、
最高に幸せな毎日を過ごしてくれたらいいなあと思います!



というわけで、サンクスビーフは牛にも人にも優しくて、
安全で美味しいお肉なのです!



次回は7月に精肉予定があるそうなので、
気になった方はぜひお問い合わせくださいませ~^^


【お問い合わせ先】
牧場主ヒデさんのfacebook:
https://www.facebook.com/hidyuki.inoue

管理人mail:
inouemilkfarm@gmail.com



タイミングによっては札幌のステーキ屋さん、
ベガーズハーレムさんでも食べられることがありますので
コチラもぜひ♪


Beggars Harlem/ベガーズハーレム
アクセス:北海道 札幌市中央区北2条東1丁目 パラダイスビル2F
地下鉄さっぽろ駅・JR札幌駅から徒歩10分

電話:011-233-0555
営業時間:17:00~ 0:30
※火曜日定休





※参考サイト

アスター薬局 Aster Pharmacy
http://www.sionaster.com/sub_meet_beef.html

亭主の寸話29 『アメリカ牛肉の安全性』
http://www7b.biglobe.ne.jp/~rakusyotei/sawakai29.html

「A5ランク=味も最高級」ではない?知らないと損する牛肉格付けの正しい知識
http://news.livedoor.com/article/detail/9281570/

完全放牧野生牛がやってきた http://www.omi-gyu.com/blog/?p=3600