2017年7月22日土曜日

乳牛として生まれた牛さんの寿命を知っていますか?

 
 
暑いですね~!
今年の夏は「異常気象」、とか言われていますが、
人の営みの影響ももちろんあるでしょうけれども、
それを含めての、地球の活動なんだろうな~と。
 
 
 
 
できるだけ地球さんに長いこと広い範囲で私たちが過ごしやすい環境でいてもらうこと、
地球の環境に合わせて健康に生きていく方法を見つけて実践していかなくちゃな~。
 
 
 


そしていま、井上牧場ではキイチゴの収穫時期まっただ中!
毎日毎日完熟になるキイチゴ採りに追われています~。
(太陽いっぱい浴びた、もうなんかドス黒い色になっている実がとても美味しいのですよ~)
 
 
 
 
 
そんな暑い季節ですが、
井上牧場ではまだまだ新しい命が誕生しています。
最近登場したこのホルスタインちゃんは
鼻の真ん中で色が分かれてしまってます。
なんだかおブスです!でもかわいい!
 
 
 


すぐにセンターマン※を思い出しました~。
(※昔好きだったバラエティ番組、「笑う犬の冒険」にて原田泰造さんが扮するキャラクターです)


こちらのホルスタイン仔牛ちゃんは草むらで発見。


 
お散歩中かと思いきや、ただの脱走でした~。
よって、あえなくお縄です。
 
 

 
脱走した仔牛を捕獲する仕事は、なんだかかわいい力仕事です!
(抱っこ以外にも方法ありますのでご安心を…笑)
 
 
 
 
こんなふうに、井上牧場では毎月、毎週のように新しい赤ちゃん仔牛が産まれますが、
“出産”は、きっとどんな生き物にとっても命がけ。
お母さん牛にとってもそうです。
 
 
 
 

7月16日に生まれたこのオス牛くんのお母さんは、
その2日後に死んでしまいました。


 


お産のときに、「子宮脱」(子宮が丸ごと出てきてしまう)が起こってしまったのが原因のようです。
想像するだけで痛い…。
 

獣医さんを呼んで、
出てきてしまった子宮を戻してもらって、
比較的すぐに対処できたようです。
お産後1日は、立てないながらも水を飲んだり草を食べたりしていたので、
回復するかなあと思ったのですが。
3日目の朝には死んでしまっていたそうです。


 
 
子宮脱は、頻繁ではないけれどたまに起こることがありまして、
その後死んでしまうこともあれば、
無事元気になってまたお産できることもあるそう。
でも今回の牛さんはこんな結果でした~。
 


 生きていたものが死んでしまうことって、
まだまだ私にとっては悲しいことで、
その生き物個体のことが頭に浮かぶと、
よりその悲しい感じが深まります。
この日もとても悲しかった…。
 
 
 
男の子の牛がお肉になってしまうことや、
お肉を食べることで命を頂いていることまでは、
結構想像しやすいのではないでしょうか!
 
 
 

でも、
牛乳や乳製品を食べることでは、
なかなか「乳牛の命」までイメージすることは難しいだろうなーと思います。

 
 
 
実際のところ、
お肉を生産しない酪農の現場における「乳牛の死」は結構多いのです。
 

 

乳牛として飼育するお母さん牛とのお別れは2パターン。
「死亡」もしくは「販売」です。

 
 

「死亡」の場合は、今回のように事故や病気によるもの。
 
 
 
前日まで普通にごはんを食べたり、
搾乳されたりしていたのに、
(実際は“普通”の状態ではないはずですが)
死んでしまうことがあります。
 

私次女が昨年から井上牧場に顔を出すようになって1年ちょっと。
私が把握している限りですが、
お母さん牛が死んでしまったのは今回を含めて3頭。
この日死んでしまった牛さんは6歳だったけれど、4歳にならない内に死んでしまった子もいました。
 

 
 

 
「販売」の場合は、
別の牧場さんで働いてもらうためのものもありますが、
基本的には「廃用牛」として屠畜することがほとんどだと思います。
 
 

つまりは命の終わり、寿命を人間が決めるということです。
 
 
 
つい何日か前に、
井上牧場でも廃用牛として2頭のお母さん牛を送り出したようです。
どちらも「乳房炎」の症状で、
お乳の質が落ちてしまっていたというのが理由です。
 
 
 
この黒い顔の牛さん1086は、 2010年4月生まれの7歳。
  
 



茶色い1165は、2011年4月生まれの6歳。


 
 
 今現在、日本の乳牛の寿命は5~6歳と言われています。
ここで紹介した、井上牧場の牛さんたちの年齢も、だいたいこれくらいでしたね。
 
 
 
でも、動物としての牛本来の寿命は20年ほどと言われています。
飼育されている牛たちの中で本来の寿命を全うできる牛さんはごくごくごく、僅か。
 


乳牛は「経済動物」ですから、
お乳の質が悪いとか、量が少なければ、
「淘汰」されるのは当然だと言われます。


それもナルホドたしかに。


だけど、
「経済動物」たちにそんな環境を当然として与えているのは、
消費者さんたちでもあるはずです。




「牛乳やヨーグルトやチーズ、
バターや生クリームを使ったお菓子、
アイスクリームを
安く、たくさん食べたい」
そんなニーズに応えるため、
乳牛たちが暮らす環境や条件は、結構厳しい。
 


たくさん出産してお乳が出る期間を長くしたり、
狭い空間で長い時間過ごしたり。



飼育環境やストレスで病気になって死んでしまったり、
ちょっとお乳の量が減ったり、
お乳が悪くなったから屠畜場に送られたり。



たくさんお乳が出るような飼料が与えられて、
どうやらそれは牛たちにとって美味しいものだけれど、
体に負担のかかるものだったり。



ちなみに、たくさんお乳が出るからと与えられる、
穀物を使った「配合飼料」は外国から輸入したもの。
私たちが自分で食品を選ぶときに避けがちな、
「遺伝子組み換え」のトウモロコシが含まれていたりします。




どれもこれも、「仕方のない」ことだと割り切るしかないのでしょうか。
 
 
 
価格、味、安全性、見た目、感性、関係性などなど、
選ぶ基準は人それぞれですが、
その食品を選ぶということは、
その食品が育った環境や加工方法を支持するということ。
 
 
 
ちなみに私は、
できるだけ長く、
健康に暮らしていたなんだかハッピーそうな牛さんの牛乳やお肉を頂きたいと思ってます。
(井上牧場さんにはできれば、まだまだこの辺を追及頂きたい…!)
 
 
 
 
まずは、生きるために食べるもの、
自分で選んで口にするもののことをきちんと知ってほしい。
そのためには、生産現場からの情報提供がとっても大事だと思うのです。
 
 
 
というわけでこれからも、
井上牧場の牛たちの情報を公開していこうと思います^^
 
 
 

2 件のコメント:

  1. 次女さんの感性が素晴らしいですね。生き物を飼う仕事は常に命と向き合うということですね。分かっているようでボンヤリとしか分かっていなかったということを認識できました。経営が成り立たないと生活もできないし、牛の乳や肉など生きている動植物を食べないと生きていけないし、人間の不条理を改めて感じました。 お父さんとはかなり昔(20年くらい前に)、滝上で開催したトークinオホーツクなどのイベントで竹内正美さんを通じてお会いしています。丸瀬布の只野と申します。これからも頑張って発信して下さい。

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    1. 嬉しいコメント誠にありがとうございます!
      次女、と言いつつ30オーバーのいい大人なのに拙い文章で井上牧場の日々を紹介しております^^。
      ブログのネタはたくさんあるのですが、何か書こうとするたび考え事が膨らんで、ついつい筆が重くなってしまうのが悩みです!笑
      父は元気です!竹内さんにもよくお世話になっています、元気です!丸瀬布もまた遊びにいきたいです~^^
      のんびりですが今後も更新していきますので、またのぞいてくださいませ^^

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